福岡高等裁判所宮崎支部 昭和24年(つ)364号 判決 1950年4月07日
被告人
藤崎勉
主文
原判決を破棄し、本件を鹿兒島地方裁判所加治木支部に差し戻す。
理由
弁護人福田甚二郞の控訴趣意第三点について、
しかし、銃砲等所持禁止令第一條にいうところの刀劍類とは、同條第三項によつて、下部法規である同令施行規則第一條第三号により定められた範囲のものを指すことは勿論であるから、同令違反の事実に対して法令の適用を示すには、同令第一條及び第二條を判示すれば事足りるのであつて、必ずしも同令施行規則の規定を判決に示す必要がなく、しかも、原判決は本件日本刀が刄渡り二八糎のものであることを特に判示しているのであつてこの点から見れば、原判決は同令施行規則第一條第三号の規定を事実上適用している趣旨であることは疑のないところであるから、原判決には所論のような違法があるとはいえない。論旨は理由がない。
(弁護人福田甚二郞の控訴趣意第三点)
原判決は法令の適用を欠く違法がある。
第二点記載の如く原判決は被告人が刄渡二十八糎の日本刀一振を所持してゐた事実を認定し之に銃砲等所持禁止令第一條、第二條を適用処断してゐる。
然し銃砲等所持禁止令にいふ刀劍類とは刄渡十五糎以上のものをいふものであつて之は同令施行規則第一條により始めて知り得る所であるのに同條の適用なくして漫然銃砲等所持禁止令違反に問擬した原判決は刑事訴訟法第三百三十五條に違反した不当があり破棄すべきものと考へる。
(註、擬律錯誤により破棄差戻)